今年の1月にネットで見かけた1本のナイフ。
アマゾンで売っていたのだが、商品説明がゴチャゴチャしていて胡散臭い雰囲気があったけと、惹かれるものがあるし、セールで安かったから買ってみた。
年初から、ちーちゃんに影響されて物を処分して減らしている最中だから買うのは少し躊躇ったけど、代わりに手元に残っていたオールドガーバーのナイフやBB弾やライフルスコープ等をどんどんヤフオクで売った。
物を買うなら何か処分するようにしている。
届いたナイフ(BS1FTS)は刃厚が薄くてチャチに見える。
しかし、小さいながらフルタングでハンドルはネジ止めで分解可能。
スカンジグラインドで非常に鋭利な刃付けがされていた。
キチンと縫製され丈夫なシースが付属していて、とても真面目に作られている事が分かった。
興味が出てきたからネットで調べるとBPS knivesのホームページがあった。
https://bpsknives.com
BPS knivesはウクライナのキエフ(現キーウ)で2017年に創業された新興ナイフメーカーで、最初はガレージのような狭い場所で家族で始めた会社らしい。
工場を持った現在でも家内制手工業的な生産方式で作られているとFBの動画で見た。
セルヒイ(Serhii 息子)とパブロ(Pavlo 父親)のボンダレンコ(Bondarenko)親子が創業者。
早速メールで日本へ発送出来るか聞いてみるとOKと返信があった。
同じ時期に「Etsy」というハンドメイドの作品を売る日本の「minne」みたいなサイトを見つけた。そこでBPSナイフも販売されていた。
日本で買うより安いし種類が豊富。
久しぶりにPayPalを使って購入してみた。
ロシアがウクライナ🇺🇦に侵攻する可能性が濃厚な頃で、メッセージ欄には「ウクライナ頑張れ!」と書いた。
担当は創業者の一人セルヒイだった。
1月23日に注文して2月7日に届いた。
Etsy利用の初回限定か分からないが、20%の割引きと送料が無料とかなーり安い。
ナイフの海外から日本への個人輸入は郵便しか出来なくて、クロネコや佐川等は取扱いはやってない。
以前、アメリカのebayで落札したオールドガーバーナイフを転送業者を使って何回も送ってもらった事があるが、やはりEMS(国際スピード郵便)しか方法が無く、重量に比例して送料が高くなるのが難点だった。
Adventurer
1066の炭素鋼らしいがどこの国の規格だろうか❓アメリカっぽいけどね。
ベルトループは2つ付いているから身に付ける時に便利かも。
フェローロッドと言うファイヤースターター(火打ち石)が付属している。
抜けにくい形をしている。
シースは厚手の皮を使って丁寧に縫製されていてコバも処理されている。
中華の安価なナイフの革シースはペラペラな物が多くて、ポイント(ナイフの先端)がシースを突き破りそうで不安になる物が多い。
フルタングで非常に丈夫。
流行りのブッシュクラフトでバトニングしまくってもへっちゃら。
炭素鋼と天然木の組み合わせってやっぱりいいな。
HK5
これも1066の炭素鋼。
シースは黒色で丁寧な作り。
フィンガーグルーブは日本人の手にも馴染む。
オールドガーバーのプレゼンテーションなんか、フィンガーグルーブが大きくて深いけど、あれはアメリカ人の手の大きさに合わせて作ってあるのか馴染まなかった。
でもこのHK5は山が低いからか良く馴染む。
HK2
これも1066炭素鋼を使った奴。
シースは糸じゃ無くて紐でオシャレ仕様。
スウェッジ(偽刃)があるから突き刺すような切り方で抵抗が少ない。
スパイン(みね)が薄くグラインドされているが刃は付いていない。
ここを刃付けすると違法なダガーナイフになってしまう😰
握りやすいフィンガーグルーブ。
親指の滑り止めもバッチリ機能する。
BS1FTS
これも1066炭素鋼モデル。
アマゾンでも買っていたが、アドベンチャーとセット販売されてのを買った。
非常に軽量で使い勝手が良い。
刃厚は2㎜と薄いからあまりハードな使い方は出来ないと思うけど、ナロータングのモーラよりは丈夫なはず。
レーザーで入れられた刻印。
Made in Ukraineが誇らしげ。
1回目の注文でアドベンチャーが入ってなかったから連絡すると、すぐに返信があり送ってくれた。
アドベンチャーが届く3日前に遂にロシアがウクライナに侵攻してしまった😓
セルヒイに大丈夫か聞いたが、仕事が中断して申し訳ないとの返事。
そんな事言ってる場合や無いやろと思った。
ロシアによる攻撃でウクライナ国内がめちゃめちゃに破壊されて悲惨な状況になっていたけど、なんと生産を再開したとFBで見た。
被害が無かったのか、とにかく良かった。
募金もいいが、やっぱり商売して利益をあげる方が喜びにもなるし、ウクライナの今後の復興の為だと4月14日に2回目の注文をした。
しかし、予想通り届かないから5月20日に連絡した。
航空便なのか船便なのか聞いたら、ウクライナの空港は全て閉鎖されているから、車両にて近隣諸国(ポーランドやスロバキア)に陸送してから航空便で日本へ届ける手配らしい。
5月23日に3回目の注文をした。
到着したのは6月21日でほぼ1ヶ月かかった。
今回は切手が沢山貼られていた。
何でやろ❓
HK1
これも1066炭素鋼使用。
フェローロッド付きの作りが良いシースはアドベンチャーと同じ。
先端が微妙にカーブしたブレード。
ハンドルは握りやすい。
ランヤード用に穴(ソングホール)が開けられているが、ハンドルをわざわざ切り欠いている。
ナスカンを付ける時に便利。
BPSのナイフは一部を除きほとんどがフルタング。
そしてミラーフィニッシュ。
錆びやすい炭素鋼だから、表面積が減るミラーフィニッシュは錆び対策にも良い。
必要にして充分な滑り止め。
BS2FTS
これも1066炭素鋼。
BS1FTSを少し大きくした感じ。
バトニングにも使える丈夫さだけど、料理にも活躍しそうな大きさ。
フルタングモデルはみんなネジ止めだから分解清掃が出来て良い。
普通に使うならナロータングでも充分だけど、どうしても荒く使う必要があればフルタングは安心感がある。
2回目の注文がまだ届かないから、6月23日に再度連絡を入れてどう対処するか考えた。
ウクライナの現状を考えると、日本の郵便局から調べてもらうしか良いかなと考えて6月26日に調査請求を依頼した。
これが調査請求書。
調査請求に必要だから送付状を送ってと頼んだら荷姿の写真まで来た。
ここまでやってるとは思わなかった。
調査請求した翌日の月曜日。
日本郵便じゃない世界中の荷物が追跡出来るサイトで調べると、日曜日まで全く動いて無かった奴が動き出した❗️
4月20日に郵便局から発送したが、やはりゴタゴタして5月10日に陸送にてウクライナを離れたらしい。
どうやらポーランド🇵🇱を越えてドイツ🇩🇪まで行ってたらしい😅
ちなみに日本郵便の追跡だとドイツ🇩🇪まで行ってた事は分からない。
4月14日に注文して7月7日に届いた2回目のナイフ達。
今回は税関で開けられて検査されていた。
アメリカからだとちょくちょくあったな。
これは一時期アマゾンでも販売されていた。
BPSのナイフは、錆対策で炭素鋼はナイフとシースは別々にラップ(サランラップみたいなフィルム)されているが、錆びにくいステンレス鋼はナイフをシースに入れてからラップされている。
この点、鋼材をよく理解していると思う。
ハンドルの多くがシースに隠れるからポーチタイプでも抜けにくいから安心。
BK06
5Cr14Movと言うステンレス鋼らしいが詳細は不明。
中華ナイフでよく見かける鋼材の一種で、アメリカの400シリーズのステンレス鋼のコピーらしい。
これはラットテールタングでフルタングみたいな強度は無いが、普通に使うには全く問題無い。
ステンレス鋼モデルはミラーフィニッシュはオミットされている。
中々良いデザイン。
ハンドルはシンプルで握りやすいデザイン。
ブレード根本のプレートは水分がハンドルに浸み込まないようにしているのかな❓
ヒルト(ガード)としての機能は無い。
これは炭素鋼だからナイフだけラップされている。
Savage
1066炭素鋼。
これは今までのスカンジグラインドじゃ無くてフラットグラインド。
ブッシュクラフトだとスカンジグラインドのイメージが強いが、フラットグラインドしか食材を切るのに向いてるかも。
ミラーフィニッシュじゃ無いのが残念。
細身のハンドルは握りやすい。
もちろんフルタング。
中華の奇抜なデザインや、実用性が低い安いだけのナイフと違い、実際に使っている人達がデザインしてるから微妙なアールが付いたハンドルになったんだと思う。
これはキットナイフ。
1066炭素鋼のブレードとプレート(スペーサー❓)とハンドル材(ウォールナット)のセット。
今回は買わなかったが、ウォールナットのハンドル材が付いてない安いキットもある。
スカンジグラインドで非常に鋭利な刃付け。
ナイフとして完成してないからか、BPS等の刻印は一切入って無い。
これがラットテールタングで、ネズミの尻尾みたいだからこの呼び名が付いたと思う。
ヒルト(ガード)みたいな機能は無いが、ブレード根元から水分が浸み込みにくくする機能はあると思う。
ブレードより大きくしてヒルトの役目を果たす無垢の真鍮かストレス鋼だったら嬉しいけどな。
ハンドルは自分好みの形に削るようになってる。
鋼材が違うだけでBK06と同じ大きさ。
侵攻の影響か、値上げと急激な円安の影響で以前のような割安感が無くなったBPSナイフだけど、やっぱり質実剛健で真面目な物作りのBPSナイフは魅力がある。
ラブレスやランドールに代表されるカスタムナイフはもちろん、ファクトリーナイフだとバークリバーやケラムのようなブッシュクラフト向きのナイフでも実用としてはやはり高い。
まあ、価値観の違いだけどね。
キャンプレベルだと、100均の包丁で充分だし使いやすい。
しかし、非日常のキャンプにはやはり特別なナイフを使いたくなるのは男の性分かも。
炭素鋼は使って行くと次第に表面がくすんでグレーぽくなるし、革シースはナイフに馴染んで色が濃くなってくる。
エイジングと言う奴で、ステンレス鋼のブレードやプラスチックやナイロン系のシースでは味わえない。
しかし、メンテを怠ったり、保管が悪いと簡単に赤錆が発生する。
ブレードを黒染めしたら錆びにくくなるから時間をみてやってみようかな。
https://tantanutakey.hatenablog.com/entry/2021/03/07/201720
ステンレス鋼のブレードと違い錆びやすい炭素鋼のブレードは面倒で水場では使いにくいけど、その研ぎやすさと高い硬度と切れ味はやはりステンレス鋼より上なんじゃ無いだろうか❓
キッチンでモーラのClassic Original1(炭素鋼のラミネート仕様)を使っているが、黒染めが取れてグレーぽくなっているが赤錆とは無縁だ。
レモン🍋を切ってもすぐに洗って水分を拭き取っておけばまず錆びない。
何より良く切れるから気分良く料理が出来る。
キャンプだけだとBPSのナイフを使う機会はあまり無いかも知れないから自宅でも使う予定。
よく海外のナイフのHPでキャンプや魚釣りやハイキングでの使用を謳っているが、日本だとハイキングにこんなナイフを持って行くのはトラブルの元だ。
1960年に起きた「浅沼稲次郎暗殺事件」で刃物の規制が強くなったから、銃刀法や軽犯罪法で逮捕される可能性がある。
現在の日本のキャンプではナイフの出番は少ない。
せいぜい、調理で食材を切るぐらいで、狩猟は免許が無いと出来ないから釣った魚を捌く程度だと思う。
しかし、日本刀を作り出した末裔が刃物アレルギーだと情けない。
だから、キャンプやブッシュクラフトがブームになってナイフに興味が出てきた人が増えたのは嬉しい。