フランスの肥後守(ひごのかみ)と呼ばれてるらしい「オピネル」
肥後守は戦前から日本で生産されている安価なナイフで、その生産は1950年頃に最盛期を迎えたらしい。
昔の子供達は当たり前のように肥後守で鉛筆を削ったり、木や竹を加工して遊び道具を作ったりしたそうだ。
僕の少年時代(1970年生まれ)には肥後守は既に無く、よく通った駄菓子屋さんには無かった。(金物店にはあったのかも知れない)
文房具屋さんで見かけたのは折りたたみ式のカラフルなハンドルの「ボンナイフ」だけで、切る道具と言えばオルファのカッターナイフであった。
1960年に起きた「浅沼稲次郎暗殺事件」が発端となって「刃物追放運動」が活発になったのと、鉛筆削り器やカッターナイフが広く普及しだして肥後守の需要が激減したらしい。
「オピネル」とはフランスで100年以上の歴史がある折りたたみナイフで、ブナの木のハンドルに穴を開けて刃が収納出来るようにスリットを設けた簡単な作りの安価なナイフの名称であり、見た事がある人も多いかも❓
昔は1,000円以下で売ってたような記憶があるが、今は2,000円前後する。
昨年の夏から加工を始めてずっと放置していたオピネルをやっと今日組み立てました😅
以下の写真は2020年8月13日撮影。
昨年購入していたのはカーボンのNo.9とNo10と、ステンレスのNo.9とNo10を各2本ずつ。
カーボンのハンドルは識別の為か着色されてます。
上のブレード(刃)はカーボン(炭素鋼)なので錆やすいです。
新品だと切れ味が悪いからランスキーにて研ぎ直しました。
今まで2回使った事ある「木固めエース」。
木材に樹脂を含浸させて防水処理するウレタン系の樹脂。
前回まで樹脂を木材の中心まで浸み込ませる為に手動の真空ポンプを使ったが、対応の容器が使えなくなっているのでジップロックみたいなポリ袋を使って大気圧にて含侵処理した。
ずっと持ってる訳にいかないから木の枝にぶら下げた。
木に枝が無いのは枯れたから😥
以下の写真は2020年8月23日撮影。
次は錆びやすいカーボンブレードの黒染め処理。
ブレード(刃)の表面に黒錆を付けることにより、悪影響がある赤錆の発生を防ぐ事が目的。
一応ガンブルーなる実銃用の黒染めする薬品を持っているが、食べ物を切るから酢と紅茶にて黒染めしました。
紅茶のティーバッグを濃く煮出してから酢を加えて液を作ります。
ブレードを糸で吊るして液に浸けます。
化学反応が起きて泡がプクプク。
4時間程浸け込んでから引き上げました。
濃い紅茶色の液体が😃
墨汁のように黒くなりました😱
黒染め前に脱脂したカーボンのブレード。
鉄の色をしてます。
黒染め後は艶消しで真っ黒。
以下の写真は2021年3月7日撮影。
半年以上放置していたブレード。
全く錆びてない😃
※黒染め処理していても、保管状態が悪ければ錆びます。
パーツ点数はとても少ない。
ステンレス(上側)との比較。
「錆に強いステンレス製があるのに、何で錆びやすいカーボンを買うの❓」
と言う疑問を持つ人も居ると思います。
理由はステンレス鋼と比較すると切れ味が鋭くて研ぎやすいから😃
オピネルの黒染めは今回で2回目。
今まで黒染めしたオピネルはハンドルを削ったり、ソングホールを開けたりして改造しましたが、みんなヤフオクで売ってしまった😅
ハンドルに印刷されていた文字はシンナーで脱脂した時に綺麗に消えてしまった。
ミラーフィニッシュ(鏡面仕上げ)にしてから黒染めしたらブレードの表面積が少なくなるからより錆に強くなるけど、面倒臭いからそのまま😆
オピネル以外のナイフも紹介します。
以前は沢山持っていた「オールドガーバー」と呼ばれる古いガーバーナイフ。
炭素鋼と言えばFS-2に採用されたV-STEEL。
ファクトリーナイフでありながら切れ味にこだわり続けたピート・ガーバー時代の傑作ナイフ。
オールドガーバーを代表するガーバーフォールディングハンター。
HSの刻印はハイス鋼を示している。
錆に弱いハイス鋼を、硬質クロームめっきで防錆した逸品。
写真のモデルは中期生産モデルで約50年前に生産された。
非常に手間がかかる手彫りのチェッカリング。
1968年から1974年までの短期間しか生産されなかったからプレミア価格で非常に高価❗️
薄刃で硬質なM2ハイス鋼の切れ味と刃持ちは魅力的だが、価格を考えるとガンガン使えない😵
オリジナルはとっくの昔に生産終了してプレミアが付いて非常に高価な為、数多くのレプリカが作られた。
写真は「今井誠造」のレプリカ「クラシックハンター」
今井誠造氏も数年前に亡くなってしまい、このモデルも既に廃番😢
元々チェッカリングが無いプレーンハンドルだったが、チェッカリングツールを使って自分で彫ってみた。
しかし、仕上がりが雑😩
バフをかけて研磨してハーフミラー仕上げにしている。
生前の今井氏に質問したところ、日本製のハイス鋼を使っているとの事。
レプリカと言えどもカスタムナイフの範疇に入る製品。
そんなに安くは無かった😑
これは日本でも有名なビクトリノックスのナイフ。
よく十得ナイフと呼ばれる多機能ナイフ。
写真はプライヤーが付いていて、使用頻度がかなり低いコルクスクリューが無いDXティンカー。
ビクトリノックスの製品の精度はかなり高くてさすがスイス製。
缶切りやハサミや栓抜きが便利。
沢山機能が付いたスイスチャンプも持っていたが、ハンドルがヘンに分厚いから手放した。
これは再販された時に買ったガーバーのシルバーナイト。
アル・マーデザインのベストセラーナイフで、
日本の坂井刃物が生産を担当。
日本のナイフの品質を飛躍的に向上させたナイフです。
現在はG・SAKAI(ガーバー・サカイ)の社名になっている。
ガーバーがフィンランドのフィスカースの傘下に入ってからもガーバーの名前を使えるのはそれだけ特別な功労があったからだと思う。
ガーバーの生産はアメリカから日本へ。そして台湾になり現在は中国😩(一部モデルはアメリカで生産されている)
新素材を積極的に採用していたガーバー。
写真のモデルはLST。
ハンドルはザイテルと言う樹脂で出来ていて非常に軽い。
古いLSTは紙(紙のマイカルタ❓)みたいな樹脂で更に軽かったような気がする。
これはブッシュクラフトで有名なモーラナイフ。
ラミネート鋼でHRC60以上の硬度のナイフ。
4本持っていて、その内の1本は僕が台所で使っている。
このモーラナイフも黒染めしている。
ラミネート鋼なので、刃紋が浮き出ている。
シュレードのビックタイマー。
シュレードも歴史あるナイフメーカーだったけど2000年に倒産😢
復活したけど現在は生産国は中国になってしまった😓
MADE IN USAのビッグタイマーも持っているけど、これは中国製。
まだナイフは他にもあります😅
僕はハンターじゃないからナイフを使う機会は少ない。
キャンプでは、バイクでのソロツーリングの時代からナイフを使っているが使用頻度は少ない。
特に野外で肉や野菜を切る場合、いつも台所で使っている包丁に勝るナイフは無いと思う。
日本の整備されたキャンプ場では自宅で使っている包丁を持って行って使うのが一番使いやすくて良いと思う。
極端な話、100均で売ってる包丁を持って行って「使い捨て」にして使う方が安上がりかも知れない。
100均包丁は研いで使えるから使い捨てはもったいないけど、自販機の缶ジュースと同じ価格の包丁だからね。
ハンターやアラスカ等のツアーガイドじゃない限り、鋼材やブレードの形状等にこだわる必要は全く無いと思う。
じゃあ、何でアンタはナイフを沢山持ってるの❓
と、聞かれたら答えに困るなぁ😅
一番沢山集めて資料を勉強したナイフはガーバーだけど、ラブレスみたいな超高価なカスタムナイフじゃない所に魅力を感じたんだと思う。
ファクトリーナイフとして量産された一般市民向け❓のナイフ。
はっきり言って、精度は現在の中国製ナイフの方が上だと思う。
しかし、ピート・ガーバー時代のこだわりの強いナイフ達。
フィスカースの傘下に入った理由は知らないが、やはりコストを考えなかったナイフ作りで経営が行き詰まったのだろうか❓
オピネルからかなり脱線してしまった😵
人間の手はとても優秀で細かい作業が出来るが、「切る」行為は手では不可能。
これからもよく切れるナイフを使い続けて行こう😊